04月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫06月

2017.02.23 (Thu)

続 『 眠れない夜に 』-mere impressions #045-II

nss45a

nss45b





題名:眠れない夜に
制作:九州壇氏のノベル工房
種別:novelistic game

警告:ネタバレあり



More ......



nss45d





眠れない夜に version 1.02



上記の誤字は秀逸だし微笑ましいしで、思わず笑ってしまった。



本編中のギミックについて。

恋人の茜 (姉) が倒れたショックで不眠になった主人公が、混濁した意識 / 認識のなかで姉の服を着て現れた香澄 (妹) を茜と見間違える」というギミックは一見、親しい人間が病気で倒れたことのショックの大きさや、そこから陥る精神状態を上手く表しているようにも見える。

しかし、姉妹の人相も判別できないほどに判断力が低下した人間が、それから毎夜、自動車を運転していたのか? と、このご時世、意図せず世間にケンカを売ることになってしまっているのは、いかがなものなのか。

そもそも、真相が明かされる以前、序盤の主人公の様子といえば、すこしばかり思い込みが激しそうな描写があるだけで特段、不自然な思考をしているわけではなかった。

そんななかで「香澄を茜だと思い込む」、ただその一点のみ狂っている、という真相部分は、やはりご都合主義的ではないだろうか。

大体にして、「登場人物が実は狂っている」というのは、物語を構築するうえでは、かなり安易な手段といえる。

「狂っている / 正常ではない」状態としてしまえば、どんな行動をとったとしてもなんとなく正当化できてしまうからだ。免罪符としては強力だが、同時に読み手の不満も募る。

だから、よっぽど上手く、緻密に描写しなければ「狂っている」ことに説得力を持たせることはできないのだろうが、この作品では……なのだが、しかしストレスに晒された人間がどのような反応を示すのかはそれこそ十人十色なのでもしかしたら……ともいえて、どこかもやもやするのである。



「願望」とは。

物語の終盤、主人公は夢のなかで茜と最後の会話をする。目覚めた主人公は後に、夢のなかの茜は「自分の願望だった」と述懐する。

このとき用いられる「とにかく断定する」思考法は、この作品の登場人物に顕著なもので、その頑迷さに辟易してしまうくらいなのだが、主人公の主張を「額面通りに」受け取ると、すこしおかしなことになる。

これが本当に「夢のなかの茜=主人公の願望の現れ」なのだとしたら「妹を支えてほしい」「好きな人ができたら自分を忘れてほしい」という茜のことばこそが主人公の望み (目覚める兆しのない茜より香澄のほうを選ぶ) ということになってしまうのだ。

これは夢のなかでの主人公の発言と矛盾するというだけでなく、その後、エピローグでも茜が目覚めないことを含めて考えると……なんだか怖い話になってきた。

せっかく、「最後の最後で茜の意識を回復させなかったのは、物書きとしての良心が働いたのか」と褒めようと思っていたのに、変なことに気がついてしまった。

どうせなら、そのまま「真偽の程はわからないけれど、俺は茜とまた会えて嬉しかった」で留めておけば良かったのに、余計な念押しをするから不気味なことになってしまっている。

念のために読み返してみたら、理屈が微妙なラインすぎて、なんだか無理筋のようにも思えてきた。主人公が願望だと思っているのは「茜が夢に現れたこと」だけで、夢のなかの茜の発言自体は茜本人のものという認識……? 願望なのだからことば自体に信憑性はないとはならない……? ダメだわからん。意外とフツーのことなのだろうか?

あー、夢のなかの茜や香澄との関係などは一切抜きにして、ただ「約束」が自分の願望であるならそれを遵守する、ということなのか? 単純にイイ話として! 回りくどいし紛らわしい! 無駄にあたまを使ってしまったー!

あるいは、「意識が戻るはずの人間が枕元に立つようなことはない (今生の別れでもあるまいし) 」という書き手の理屈が根本にあってのことなのかもしれない。エスパーじゃないから知らねー!



エンドロール。

演出上、仕方がなかったのかもしれないけれど、エンドロール後もダラダラと本編を続けるのは止めてほしい。

映画やドラマを観ればわかるが、エンドロール後まで物語が続くなんてことはまずありえない。アニメでさえいわゆる C パートがやたらと長いなんてことは (ほぼ) ないだろう。

「エンドロール後のエピローグ」という手法は、ノベルゲームに限っていえば珍しくないのだが、エンドロールには物語世界と現実世界との境界線の役割もあるのだから、終わるべき箇所できちんと終わってほしいものである。



関連記事
02:07  |  +ちらし のうら かんそうぶん  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

Comment

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://sorrry.blog104.fc2.com/tb.php/1298-babfc1a7

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME |